チャイルドマインダーの子ども観

2000年頃の子どもの観察記録 他

071 『おじさん』という名の『おもちゃ』の話

乳児から幼児になると冒険をし始める。幼稚園児くらいの年齢が好む遊びに『お父さん登り』があるみたい。家の中でできるちょっとした冒険だね。
お父さんとしてはジッとしていればよいだから、ラク。 とはいえ、支えてやるだけの体力は必要。これが、子どもの体重に反比例して体力は落ちてくるので、そういった年代にかかってしまうお父さんとしてはそうも言っていられない。

 

幼稚園で子ども達と遊ぶ時間が持てた時『おじさん登り』が始まってしまった。
一人の子を対象にフロアーに座って、膝から肩に登ったところで飛び降りる。という遊びをされていたところ、いつのまにか列ができていた。
「次、ボクね」「その次ワタシ!」
・・・そう、女の子も参加してきた。

 

「おとうさんって、おもちゃみたい」長男に言われていた言葉が、次男だけでなく、その友達にもしっかり受け継がれていた。

「このおじさんおもちゃみたい」

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信号機のロボ

070 伸ばせる個性は伸ばしたいと思った話

長男のクラスメートに、些か落ち着きの無い男児がいた。授業中でももおとなしくジッとしているのが苦手みたい。

3年の授業参観の時に彼がはっきり先生に「もっと俺の事みてよ!」という発言をした場面があったんだけど、無視されていた。

図工や作文などは他の生徒と違って、面白さがあったので、僕としてはそちらの方で注目していたんだけど、学校の方では『多動』と位置付けたらしく、補助教員まで入って、彼を落ち着かせようとしていた。

その甲斐あってかなんだかわからないんだけど、4年の半ば頃には落ち着きを保てるようになってきたようだった。

ただ、学年の終わりに書かれた彼の作文が、3年の終わりに書かれた、自分の興味あるものに対し、熱く語っていた『作品』に比べ、面白みの無い『一年を振り返っての思い出』になっていたのには、拍子抜けさせられてしまった。

学校の「手のかからない生徒にする為の働きかけ」が個性を無くしてしまったのではと思えてならなかった。

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何かの緊急車両

 

069 『謙遜』は子どもからすると『ダメな子』

長男の幼稚園の個人面談が終わった後の事。同席していた息子に「お父さん、先生とどんな話してたかわかった?」と聞くとボソっと「(僕の事)『よわい』っていってた」。

「押しが弱くってつい人に譲っちゃうようなこころが…」という話の部分のことだろうと思った。話の流れとしてはマイナス的な内容ではなかったんだけど、『弱い』という言葉だけが気にかかったんだろうな。そこしか覚えていないようだった。

 

幼稚園にはお誕生会なるものがある。その月が誕生月になる子が親共々主賓席に並べられ、お祝してもらうのだそうで。

僕は参加した事がなかったけど、席上で親は最近の様子などを交えながら子どもの紹介をさせられるんだって。

誕生会に参加してきた家内の感想は「なんでみんな子どもの悪い面ばかりいうんだろう?」だった。

 

そのような場所に限らず、親たちは謙遜してか「しっかりしてるね」と言われても「い〜え、まだまだ赤ちゃんみたいなんですよ」と答えたり、沢山の長所はそっちのけでマイナスの表現で子どもを語るよね。それどころか「元気」を「乱暴」と言い換えるなど長所でさえ短所的な表現で言い表す。

…ま、僕自身そうだったんだけど。

家内が言いたかったのは、子どもはそういうことに結構敏感だということ。大人だって自分の悪口はすぐ耳に入ってくる事を考えると納得。

 

子どもの自信と自尊心を考え、少なくとも子どもと一緒にいるの場面では意識して話すよう心がける様になった。

 

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068 戦いごっこは気持ちを安定させると思う

漫画クレヨンしんちゃんはその作風から子育て関係者には敬遠する人もいるみたいだけど、我が家では推奨してる。

ただ、ネネちゃんが人知れずうさぎのぬいぐるみをぶっ叩くシーンだけは好きにはなれなかった。

 

が、しかしよくよく考えてみるとこれも子どものストレス発散の一つの方法なんだよね。

コレを『人』に対してやってるわけではないので、仕方ない。人形を代用することで精神の安定を保っているとしたら。ぶっ叩き行為のおかげでネネちゃんはみんなとうまくやっていけるのかもしれないと思った。

 

というわけでわが子にも可能な限り暴力行為を容認している。( こう書くとスッゲー誤解されるんだろうな)

ターゲットは僕自身。戦いごっこというやつ。もちろん僕もやられっ放しじゃない。そんな中で叩いたり叩かれたり、蹴ったり蹴られたり、潰したり潰されたりの感触を覚えさせていく。

 

次男は3才くらいの頃、室内遊ばせスペースにあるうさぎやきつねの抱き枕を相手にバトルを仕掛けてた。その都度どっかのお母さんからたしなめられるのではとハラハラだったけど幸い?そういうことはなかった。(内心ではナンカ思われてたカモ)。

 

物は大切に、ぬいぐるみは可愛がりましょうという考え方も大事だろうが子どもの精神安定の為にはぬいぐるみとのバトルも必要と捉えたいね。
女の子だって戦い遊びが好きな子もいる。普段おとなしい子でも、気持ちをチョイとくすぐってやると、パンチやキックがとんでくる。
いや、本当にとんでくるんだなコレが。
ストレスを溜め込んだ『おとなしいいい子』から『無駄なストレスが解放された安定した子』へ向う大事な行程だよね。

 

そんなことしてたら暴力的な子に育つって?
いや!とても真っ当に成人しましたね。

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067 好奇心は咎めない方が良いと思う

小雨の中、4年生の長男が走って帰ってきた。傘は持っていたのにさしてなかった様子。なんでそんな事をと問い詰めると、

「下校のチャイムがどこまで聞こえるかやってみたんだ。で、なり終わりそうだったンで、走ったら傘が邪魔になって。十字路をこえた50メートル先位まで聞こえたよ。チャイムって結構きこえるんだねぇ」

息を切らしながら一気にしゃべり終えた。しかも、とても楽しそうに。

 

しかし、 

よりによって、

2日前までは熱出して休んでたのに。

病み上がりに、しかも雨の日にしなくても……。

 

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066 『いけないこと』も考える力と捉える

4年生の長男の机の上に妙なものをみつけた。プラスティック性の定規や分度器をセロテープで繋ぎあわせている。とうてい授業に使うものには見えなかったので「大事な文房具をこんなに粗末にあつかって!」と、一瞬叱ろうかとも思ったがとりあえず聞いてみた。

 

机の上でバトルをするんだって。

机の上で、鉛筆などを使って、定規等をはじく。自分のをはじいいて、他の人の定規を落とす。いわば、おはじきの定規版といったところ。『じょうせん』(定戦?)っていうんだそうだ。別バージョンで消しゴムのおはじき『けしせん』というのもあるらしい。

 

そいうえば、僕らが小学生だったころオリンピックのジャンプで日本選手の表彰台独占というのがあった。それを期に教室で流行ったのがジャンプ競技。友人がレーシングカーのコースを持ち込んできた。教室後ろのロッカーの上に斜めにたてかけ、そこから選手を滑らせて飛距離を競っていた。選手とは、プラスチックの下敷き。コースの幅に合わせて、切って、曲げて、より遠くに飛ぶよう各自工夫していた。

 

下敷きや定規等、勉強の道具を遊びに使うと言うのは親(大人)の視点からみれば『物を大切に使わない』いけないことだけど、子どもの気持ちにそった場合、「いけない」ことの基準がグ〜っと甘くなる。で、大人になった僕は思う。

それはそれで仕方のないことと。

成長する中で大事な『必要悪』って奴かなって。

 

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番外:子どもの『ガス抜き』について

小学生を預かって遊ばせるボランティアをやってるんだけど、遊びのメニューの一つに声出しダッシュというのを取り込んでます。
声出をしながら(叫びながら)決まったラインまで走るというただそれだけの遊び。
叫ぶ言葉は紙に書いて見えない様に袋に入れて子どもたちに引かせる。
「がんばるぞー」「まけないー」「お母さん大好きー」などという言葉のほか、
「バカヤロー」「大っキラーイ」「う○こー」という日常生活ではNGワードとしているものも入れてる。
これが結構子ども受けしている。
日頃禁じられてる言葉をここぞとばかりに叫んで『スッキリ〜』って感じ。
案の定一人の保護者(お母さん)から
「あの〜、『バカヤロー』はアリなんですか?」って聞かれた。
「この場ではアリです」と答えた。
この場だからこそ許せる言葉として、ストレス多い子どもたちのストレス発散場所ってイメージ。
世に言う『ガス抜き』と思ってやってます。


ご近所に『バカ』って言うのをマイブームにしてる子がいた。
当時4歳。
人の顔見ては「バカ!」「バカ!」って連呼してたけど、
今では礼儀正しい高校生に育っている。

065 悪気のない嘘は発想の豊かさ

4年生の長男。学校から帰宅するなり「うちよ塾に行ってくる」とノートとペンケースを持って出掛けて行こうとしたので「勉強か?まさか〜?」と思いながら聞いてみたら、『う』クンの家で『ち』(自分)と『よ』クンが集まって漫画をかくんだって。

そういえば、最近気が付くと漫画ばかりかいている。

「そんな暇があるんなら勉強でも…」と言いたくなることをグットがまんして、勉強ごときで折角の創作意欲を萎えさせてはいけないからね。

それにしても、漫画をかくのにわざわざ友達の家にいくのかと聞いたところ「友達と一緒にいたほうがイメージがわくんだよね。『う』は一本だけど、ぼくと『よ』は二本同時にかいてるんだ」とのこと。

デザイナーという職にありながらイメージ貧困な父としては息子をうらやましくおもいながら見送ったのだった。

 

家族で夜見た夢を発表しあっていると、年少の次男も混ざってくる。長男は「それ、嘘だろう!」と言って相手にしない。内容が長男の見た夢と酷似していたりして、明らかに作り話だなと思いつつも、僕はつっこみを入れながらどんどん大きな物語にさせていくのを楽しんでいる。

幼児の場合、自分の作り話のなかに入ってしまう子もいるようで、それがそれがあまりにリアルで、しかも『今日、幼稚園であったこと』として話されると、聞かされた方はホントにあったことではないかと信じてしまいそうにもなる。でも、つっこみ(質問?)をいれていくと、矛盾点やボロがでてきて「なんか、あやしい」と思えてきて、『ホントの様なウソの話』に気づくことができる。

でも、それは『嘘』というより一つの『作品』って思ってしまうんだよね。

漫画も、映画も、小説も……みんな(ほとんど)『嘘』から生まれてるんだもんね。

 

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064 片付けのさせ方工夫も台無しに

ウルトラマン仮面ライダー、それらにでてくる怪獣や怪人の人形は大きめな一つのプラ箱に一纏めに入れている。

ぜーんぶ出してひとしきり遊んだ後、そろそろ片付けさせようとした時、「じゃ、投げていれるね」と年少の次男。全部収納できればいいやと思い投げ入れながらでも片付けさせたんだけど、途中「玉いれみたい」と言うので、こちらも調子に乗って「うさぎ組さんがんばってます」「ひよこ組さん、苦戦です」「さぁどうなることでしょう」などと実況風にはやしてみました。

すると次男ははきゃーきゃー言いながらスピードを上げていき、数秒後には盛り上がりながら全ての収納が終わったのでした。

 

ところが・・・次の瞬間。

 

 

「じゃぁかぞえまーす」

せっかくきれいに片付いた人形が「い〜ち、に〜い、さ〜ん」の声と共に高く放り出されていくのでした…。

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昭和なロボット

 

063 タオル地の心安らぐぬいぐるみ

我が家には飾り物として、家内が昔作っていたタオル地の小さなぬいぐるみがいくつかある。

ある日長男(4年生)が自分の物として、何か作ってほしいと言ってきた。

家内が、どんなのがいいか聞いたところ、「いもむし」と言って、イメージスケッチを持ってきた。

そこで家内は、厚手のフェイスタオルをまいて胴体とし、大きめのハンディータオルを丸め顔に見立てたイモムシ『うも丸』を誕生させた。

すると次男(年少)もそれが気に入り自分のもと言い出したので、二つ目のいもむし『うも介』が誕生した。

二人はそれらに上記の名前をつけ、自分のペットのように大切に扱っている。

 

我が家の場合、家内が次男妊娠中にほとんど動くことができず、当時幼稚園年長だった長男を二ヵ月ほど構ってやることがでず、出産直後までの最後の27日間は僕の両親の元へ預けてしまったと言う経緯がある。

出産直後もベッタリ相手をしてやれるわけもなく、その間の『母親』を取り戻そうとしているんだろうと家内は分析している。

 

そんな事情がなくても、ぬいぐるみ的なものに心の安らぎを感じるというのはいたって理解のできる部分。それが既成の物ではなく、形が整っていなくても、縫い目が多少粗くても、母親の手作りの物の方にウエイトがおかれたというところに、母親の見えない力を感じてしまった。

 

後日「お父さんのがないのはかわいそう」「お父さんにも作ってあげてよ」と言うことで『うも吉』

「お母さんも自分のつくれば」ということで『うもも』と時間差で4匹のタオルイモムシが誕生し、時間帯によって、ソファーや食卓や仕事部屋や、布団やベッドにごろごろしてるんだなコレが。

家内は(調子に乗って)その後も『うも太郎』『うもチョコ』とうもむし兄弟を誕生させていったのでした。

 

 

ウチの子どもたちが凄く気に入っているので、他の子どもたちの反応も見たくて、託児ボランティアに持ち込んだんだけど、1〜4歳児すべて無視。どんなにかわいく動かしてみせても、リアクションがない!

こういった手作り品は内輪ウケしかしないんだろうかとちょっとガッカリしたと同時に「よそのおばさんの手作り品では満たされないのだろう」と、ここでも母親の力を再認識させられた。

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              長男のイメージイラスト