チャイルドマインダーの子ども観

2000年頃の子どもの観察記録 他

084 『お絵かき』で『気持ちの整理』

いつもより早めに登園の支度が出来たので、ゆったりと朝の子ども番組を見ていた。虫の童謡が流れた時、バックグランドの虫のアニメをみて「鈴虫の絵をかく」と言い、紙とサインペンを持ち出してきた。

ところが描きはじめたのは戦士の絵。

背の高い戦士のパンチ攻撃を同じくらいの大きさの戦士がバリアーでガードし、下から応戦。

攻撃の様子など動きが感じられて、大人の目から見ればこれで『完成』だった。

ところが年中の彼の中ではまだ未完成。『物語の途中の場面』でしかなかった。戦いは相手の手許をぐぢゃぐぢゃに攻撃するまで続けられた。

ん?

鈴虫はどこへ??って感じだったんだけど……。

 

実は、前日、兄の友人(小5)にからかわれるという屈辱的な経験をしていた。僕は助けを求められながらも、敢えて傍観していた。

側にいるお父さんはあてにならないと諦めてか、

「お兄ちゃんに言い付けてやる!」(その時兄はいなかった)とか

「お母さんはキョーボーなんだぞ〜〜!」(お母さんは強いらしい)と言葉で精一杯の反撃。

この日のお絵描きはその時の『思い』の『消化作業』に思えた。

 

大人の目から見て完成でもそれだと子どもが表現したいことは未表現のままなんだろうね。

そんな時の彼らは創作活動をしてるわけではなく、心の整理をしてるんだろうから。

 

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色は紫をチョイス。
攻撃的な面を持つ赤とそれを抑えようとする青が混ざった色。