048 男の子おつきあいはテキトーに ①
その日は長男(小4)の髪を切りに帰宅後予約制の美容院へ行く事にしていた。
長男にも学校に行く前にしっかり家内が申し渡していたそうだけど、それにもかかわらず、「ゴメン、サトシ(仮名)と約束してきちゃった。髪、切りに行かなくてもいい?」と言う。
家内が散髪の方を優先させようとしたところ「学校の南門で待ってる」と言う。
予約を取り消さなければいけない状況にしてしまったこと。
親との約束守らなかったことに些かカチンときたけど、
そういう時にはどうすべきかを言い聞かせ、今回はと言うことで遊びを許す事にした。
サトシ君の家は学校からそう近いわけでもなく、急な坂道を降りて、登っての所。そんな所からはるばるやってきて、待たされて「遊べない」じゃあまりにも不憫だったし『友達優先』の我が家の法則からそうすることにした。
そんなこんなで遊びに送りだして暫く後、長男が帰ってきた。
あまりに早かったのでどうしたのか聞くと、待っててもこなかったので帰ってきたと言ってソファーにねころんでしまった。
あまりのことにそのままでいいの?と思ったので口を出してしまった。
「待ち合わせ場所、間違えたんじゃない」
「お前が間違えたんだか、向こうの勘違いかわかんないけど」
「もしかしてまだ家にいるとか」
「電話してみれば」
ここでようやく、電話をする気になった様で……
「あ〜、もしもし、サトシ〜
今日、どうする?
…
今からじゃもう遅いし
…
じゃ、また今度ね」
相手が出た瞬間「なんで家にいるんだよ」と切り出すだろうと思っていた僕にとっては信じられない会話だった。(先方の声は聞こえなかったけど)
親との約束を違えた我が子ではなく、今度は友達との約束を果たさなかったサトシ君の方に不信感を持った。
釈然としない思いでその夜、
「今日は散々だったな」と言うと「なんで?」と言うので「お父さんやお母さんには叱られるし、その原因になった友だちからはすっぽかされるし」って言ったら、「そういえばそうだね。そんなこと全然思わなかったよ」
おおらかというか、細かい事にとらわれないというか。
いや、僕にとっては細かいことじゃないんだけど。